5月3日(水・祝)〜4日(木・祝)  七面山・八紘嶺・山伏
コース
1日目  身延ー七面山登山口(11:40〜12:00)〜敬慎院(4:00)
2日目  敬慎院(6:05)〜七面山(6:45〜650)〜八紘嶺(9:50〜10:05)〜
              大谷嶺(11:40〜11:50)〜新窪乗越(12:20〜1:00)〜山伏(2:15〜              2:30)〜蓬峠(3:20〜3:40)〜山伏登山口(4:30)〜種田バス停              (5:20〜6:10)ー静岡(7:40〜8:13)ー小田原(10:00〜10:06)ー              向ヶ丘遊園(11:18)ー自宅(11:30)
歩行距離および所要時間
      1日目   約 8km(概算 50m×3回×50合目)    3時間
                     2日目    約19km   11時間半

 今回の山行きの2日目(4日)の行程は、3月末に行った雁が腹摺山以上にきつかった。歩行距離約19kmと言う数字も次の日計測して始めて気がついた距離だ。全体に、コース時間に余裕がなく、目いっぱい歩いても、途中まで(少なくても新窪乗越まで)少しも時間に余裕ができなかったので、最終バスに間に合うのか、安心できなかった。(次の日の独り言ー連休の谷間なのだから、もし間に合わなかったら、近くには梅ケ島温泉を始めいくつかの温泉があり、あるいは安い民宿にでも泊まるつもりで予定していれば、疲れていても休憩を満足に摂らずに無茶して歩いたりせずにすんだかもしれない)
 コース全体では決してアップダウンが多い方ではない。きついと言えば、大谷嶺〜新窪乗越の下りくらいであろうか。
  七面山は日蓮上人の高弟日朗上人の開山以来、修験者的要素も加わって信仰登山が今なお連綿と続いている霊験あらたかな山である、と説明書にあった。
  5月3日
 4:50に目覚ましをかけ、前日寝つきが良くなかった割には朝までぐっすりと寝たので寝覚めは良かった。前日の2日は1日雨が降ったが、今日は青空で気持ちが良い。5:25に我が家を出発して、いつもの向ヶ丘遊園駅に向かう。朝は寒く手袋が要るのに気づき、100円ショップで軍手とハンディーライトを買う。
 登戸で南武線に乗換え、立川駅で6:43発の甲府行きに乗る。笹子トンネルを抜けると、さらに天気は良くなり、雲一つない快晴だ。真っ白い南アルプスの山並みもくっきりと見える。昨年12月に甲州高尾山に来た時を思い出す。
 甲府駅には8:46に着き、身延線に乗換える。身延線は始めて乗る電車だ。出発して解ったことだが、駅の間隔が短い。降車の身延駅まで1時間半だが途中25の駅に停車する。近くに櫛形山遠くには南アルプスの山が正面に見える。身延駅3つ手前の下部温泉駅は静かな駅だ。どこに温泉街があるのかわからない。
 身延駅で降り、バスを待つ。登山客が富士宮方面からの電車でも降りたらしく、バスが来るまでには15,6人ほどの列ができる。バスは小型で定員は20人程度だ。途中渋滞にぶつかる所もあったが、予定の11:24には七面山登山口に着く。ほとんどの人がここで降りる。バス料金の950円を払おうと思ったら、財布の中には1万円札しかない。お釣りはないといわれ、慌てて近くのお店で両替をしてもらいに行ったら、小銭入れに500円玉が2個あり、急いでバスに戻る。何しろ別のバスがさらに奥の登山口の羽衣まで接続があり発車を急いでいた。料金の精算を済ませ、次のバスに飛び乗る。 終点の羽衣で降りたら、また300円の細かいのがなく、バスの運転手から良いですと言われ、すみませんと誤り降車する。
 樹齢数百年の大きな杉木立の中の降車場の、すぐ右手には階段状の坂道が始まり、敬慎院に行く道だとわかる。鳥附には大きな鳥居がある。

正面には橋があり、橋の向こうに滝が音を立てている。この滝を白糸滝、通称「お萬(徳川家康の側室)の滝」と呼ぶとのこと。また、近くに説明板があって、荷物の大変な方は12時までに旅館に申し込めば500円で運びますと説明がある。しかしほとんどの人は背中に荷物を背負って登り始めている。近くに若い兄妹らしき人がいたので、今日は上に泊まるのですかと尋ねると名古屋から7〜8人できており、毎年登るとのこと。ついでに入浴の設備に着いて尋ねたら、設備はあるが石鹸やシャンプーの使用はできないとのこと。写真を撮ってもらい12時になっていたが、少し登っておきたいと思い、登り始める。勾配はきつくはないが、ジグザグの道がえんえんと続く。平らな所は神力坊、肝心坊、中適坊、晴雲坊と呼ばれる4つの有人の休憩所と寺をかねたところしかない。所々に石の行燈に「○丁目」の文字が敬慎院まで1〜50まで並んでいる。最初はあまり気にしなかったが、30丁目を過ぎたあたりから、目安として大変助かるようになる。また、登山道のすぐ脇を荷物を載せた無人のケーブルが時々登ってきている。
   最初の休憩所の肝心坊で12:30になったので昼食にする。机や椅子もありバーナーを出しにくかったが、店に人に聞き了解をもらう。水道も排水施設もあり助かる。下から「南妙法蓮華経」の掛声と共に白い袈裟を着て小太鼓をたたきながら登って来る団体があった。


  昼食後も同じようなジグザグの道を登る。丸太の小さな階段は整備されているし、小石こそあれ、土の道が多く、木の根や大きな石もなく信者の登る道として、実に良く整備されている。また、ベンチだけでなくサッシの屋根付の休憩施設も数多くにある。

 やがて36丁目の晴雲坊をすぎると、有人の休憩所は敬慎院までない。あとは丁目の表示を目途に、疲れ具合を判断し、休憩を摂りながら登る。
 46丁目に来ると大きな敬慎院の山門がある。ここから直線の坂を300mほど登ると鐘がある、敬慎院の門に辿り着く。ここから入っても行けるが、坂を登って、正面に富士山を望む展望台を経由し、48丁目のもう一つの山門をくぐって階段を下ると、正面左側に「50丁目」の御影石がある本尊に辿り着く。
展望台からの富士山
左に50丁目の石標のある本堂
七面山と敬慎院
 4時少し前に敬慎院に着き、受付を済ませ、部屋に通される。宿泊施設は入口や厨房部分は年月が経っているようだが、宿泊部屋の内装の柱や襖や障子は新しい。会計を済ませてからお風呂に入って汗を流す。部屋は18畳に12人程度なので余裕はある。
  5時になると夕食だ。部屋に配膳されたが、おかずは精進料理で、高野豆腐の煮物・ひじき、それにもう1品とワカメの味噌汁だ。ついでだが、お神酒も2合徳利で3本ほど出る。おかずがないのでそんなに飲めないし、酒好きな人でも一緒に食事をしている人の目もあり、何杯もお代わりをすることはやっぱり遠慮することになる。それでもうれしくてつい5杯程飲んでしまう。
 夕食が終わってもまだ外は明るく散策をしようとしたら、「川崎の青木康博さん」と名前を呼ばれ、6時からのお勤めに参加することになる。お勤めは本尊の奥に30分程度、都合4回ほどに分けて座り、お経の中「ご開帳」の元、焼香を炊く。また参加している人の各人の名前が読み上げられる。さらに7時からは全員を一堂に集めて「夜のお勤め」が行われる。本堂の中は寒く、ホットカーペットがあり助かる。夜のお勤めはお経が終わると袈裟懸けの坊さんが全員出てきて、お勤めに参加している全員の体を包みこむような仕草をしたと思ったら、肩や背中をたたいたりさすったりする。最後の方になり、お布施をした人の名前を延々と読み上げる頃になると、頃合を見計らい、引き上げる。
  なんだかんだで消灯の9時少し前まで様々なお勤めが行われていた。ナイターを聞きながらいつのまにか寝てしまったようだが、敷き布団が薄いせいか夜中に何回か咳をした。
   
5月4日
  夜中は11時、2時、4時に目を覚ます。4時25分に目を覚ましたときは大部分の人が起きて身支度を始めていた。洗面を済ませ、ビデオ映像を見ると富士山の展望台はガスっており、ご来光は望めないようだ。とりあえず「朝のお勤め」の始まる5時まで時間があったので展望台に行くと、
展望台では富士山の方向に向かい、白い袈裟を着て「南妙法蓮華経」のお経を唱えている若い人の団体があった。

  先頭の人はマイクを握り締め繰り返し唱えている。やがて5時を過ぎ「朝のお勤め」の時間になったので本堂に戻る。朝は昨日の夜ほどの人はいなかった。最後に住職らしき人が説教を述べて、朝のお勤めの終了だ。
  部屋に引き上げ、今日の行程は長いのでそそくさと朝食を済ませ、身支度を整え、6時に出発する。七面山まで朝なのでペースをあげすぎたのか、やや呼吸が乱れる。意外と時間がかかる。静かな山頂だ。

  休憩を5分で切り上げ八紘嶺へ向かう。アップダウンも少なく歩きやすい道だ。ピンクのリボンテープが短い間隔で樹木に巻きつけてあり、助かる。途中の展望箇所で、南アルプスの展望はさえぎる樹も少なく最高だった。また反対側の富士山もようやく雲海の上から姿をあらわした


  第二三角点まで1:40のところを1:15で歩けたので良いペースかなと思ったら、次の八紘嶺までは地図のコースタイムと同じだった。

 八紘嶺では朝4:30に敬慎院を出発して、今日は山伏の小屋に泊まるという年配者の夫婦に追いつく。若い頃からやってなけねばできないし、やろうとも思わないだろう。すごい!
 15分ほど休憩して(ここですでに予定より25分遅れ)一旦1750mまで下り、五色の頭まで登り返し、大谷嶺をめざす。が、大谷嶺まで結構時間が掛り、着いた時は11:40になっていた。

 思わず疲れて、リュックをどさっと置き、帽子を丁度そこにあった木の残骸の上に置いた。南アルプスの展望は八紘嶺よりすばらしく、近くにいた人と山座同程の話で夢中になり、南西方向の展望も良かったので、山伏も教えてもらう。光、上河内聖、赤石、中、荒川、農鳥、間ノ、そして北岳。夏にはヤナギランも咲くようだ。写真を撮ってもらう時までは帽子のことが頭に会ったが、写真を撮り終わると、11:50になってしまったので昼食をどうしようか迷ったが、すでに40分近くもコースタイムより遅れ、連続して休憩を摂りたくないと思い出発することに決めたときには帽子を木の上に置いたことをすっかり忘れてしまっていた。
 新窪乗越までは急な下り、下りきってからやや登り返し、再度下り乗越に着く。左(南)側はがれていて、道も登りにくそうだ。風が強く反対側に避けて昼食を摂る。バーナーに点火して、ご飯とハヤシの元を暖める。ハヤシライスを食べ終わり、荷造りしている時、帽子を大谷嶺に忘れてきたことに気づく。一瞬迷ったが、戻る気持より諦める気持ちが強かった。置き忘れたことは娘には申し訳ないが、何も話さず、探して自分の小遣いで同じものを買い求めよう、と思った。
 新窪乗越からは緩やかな登り。登りきると、起伏のあまりない広い笹の稜線が続く。やがて残雪が少しづつ現れ、登りになる。少し下ってから、再び登りになり、ほどなく最後の目的地、山伏に2:15に着く。

 コースタイムより30分早く着き、これでバス停には十分間に合うとほっとする。山伏は笹の繁る、平らな広々とした穏やかな山頂だ。後から見えた若い夫婦らしき人は今日は梅ケ島温泉泊りとのこと。15分ほど休憩してとにかくバス停に向かう。
 くだりは良いペースで下り、蓬峠まで20分短縮する。10分ほど休憩し、さらに緩やかになった道を下る。沢を2〜3回ほど渡りかえし、ワサビ畑で私より少し年上の4人のグループを追い越す。さらに、杉の林の道を抜け、あきあきした所で4:30に車道に出る。未舗装道路を20分ほど歩き、新窪乗越への道とあわせて、舗装道路を30分ほど歩くと、大きなバス道路に出る。
  バスが来るまで整理体操を3回ほどする。整理体操中に自宅から留守電が届くが電波が届かず、掛けられない。バス停の前の家からは薪をくべる良い香りがする。早く風呂に入り、2日間の汚れを落としたくなる。
 バスに乗り、静岡駅で急げば新幹線に間に合ったかもしれないが、明日も休みだし、予定通り東海道線の各駅停車を乗り継いで帰る。乗ろうとしたらスイカは使えず不便を感じる。駅でビールとつまみを買うが、プラットホームにあがったら、立飲みで生ビールを飲めるところがあり、ローカル色を感じた。駅弁も買い、乗りこんだ電車で早速のみ始める。若狭名物、焼きさば弁当は値段こそ1050円だが、さばとしょうがの味が良くマッチして、結構美味しかった。熱海で乗換え、疲れで少し寝ていたら、小田原駅に着いて駅の雑踏音で目がさめる。小田急線に乗換え、向ヶ丘遊園で降り、タクシーで家に11:30少し前に着く。

費用
   自宅ー身延 2940円 身延ー登山口950円 登山口ー羽衣300円敬慎院1泊2食代5100円お守り300円バス停ー静岡1300円静岡ー向ヶ丘遊園3340円向ヶ丘遊園ー自宅1130円ビール・駅弁2000円登山食料2000円     計19360円
  某山歩き専門会社のツァーでは夜行日帰りで山伏を17,000円で企画しているが、自分で工夫して行けば、この程度の予算で1泊2日の日程で縦走もできる