7月12日(土)〜16日(水) 幌尻岳・利尻岳
コース
1日目 羽田ー千歳空港ー富川駅ー平取町民宿(泊)
2日目 平取町ー幌尻岳登山口〜北電取水施設〜渡渉開始地点〜幌尻山荘〜命ノ水〜幌尻岳山頂〜幌尻山荘〜北電取水施設〜幌尻岳登山口ー平取町(民宿泊)
3日目 平取町ー富川駅ー苫小牧ー岩見沢(特急サロベツ13:07発)ー稚内駅(18:11着)(民宿泊)
4日目 民宿ー稚内港ー鴛泊港ー北麓野営場〜長官山〜利尻岳山頂〜長官山〜北麓野営場ー利尻富士町旅館(泊)
5日目 利尻富士町旅館(泊)ー鴛泊港ー稚内港ー稚内駅ー旭川駅ー旭川空港ー羽田ー自宅

 今回は北海道の百名山二山に挑戦した。実は来年定年を迎えるにあたって、かねてから60までに「90」を目標に掲げてきたが、ここ数年の諸般の事情から達成がほぼ困難になってきた。少しでも数を伸ばすために、まとめて登るツアーを考えていたが、費用が125000円かかることを考え躊躇していたら、6月30日にはキャンセル待ちになってしまった
。キャンセル待ちに申し込んだものの、個人でも幌尻と利尻を合わせていこうと計画を練った。飛行機や宿の予約(特に幌尻は登山口までの送迎の予約も)は確保したが、幌尻岳の幌尻山荘の空き状況を確認しようと思って3日に電話したら、「毎年4月1日から受付を開始しており、すでに8月まで予約で満杯です。予約された方はすでに銀行振り込みで予約料金を払い込んでもらっています」とのこと。1人ぐらいなんとかとお願いしたが、らちがあかない。しょうがない、あきらめようと、すでに予約した民宿に断りの電話を入れた。(民宿からは山荘はこの時期すいているからといわれて、確認をしなかったのだ)
となり、一時期は利尻岳だけにせざるを得ないと考えていた。
ところが5日になって、パソコンを開いてみると、登山口から約12時間で往復できると書き込みがあった。そうか!そうすれば、山荘に泊まらなくても幌尻に登れるとコースを変更し、日程を組みなおして、上記の予定表を作成した。寝袋やマットの荷物が減ることも幸いだと思った。民宿に急いで電話して予約を再度入れなおし、飛行機の手配もやり直す。山靴は強行軍なので、足の爪の心配はあったが、軽い靴にする。
ところが出発前日になって、送り迎え代を早朝なので、3000×2の6000円を4000×2の8000円にしてほしいとのことなので了解した。さらに、出発当日の朝になって、昨日の渡渉水位が腰のあたりまであったので中止した人がいた。1日ずらせば確実に渡れる、とのこと。飛行機もすでに予約したし、予定どうり出発しますと答える。

7月12日(土)
羽田発11時の飛行機で予定通り立ち、千歳には12:30に着く。駅までの乗り換えが1時間しかなかったので、あらかじめ前のほうの席を取っておいたが、充分間に合った。乗り換えの南千歳駅で風の冷たさに驚く。こんなに涼しければ、登山は楽だなと思ったが…。苫小牧からの車窓は町を離れると民家がぽつんとしか見えない。
富川駅で降り、40分ほど誰もいない無人駅でバスを待つ。
富川駅。小野上温泉駅にそっくり(2006年6月3日小野子山・十二ヶ岳を参照)
バスに1時間弱ゆられて、アイヌ資料館前で降りる。国道沿いに民家や店があり、1日中、通過する大型車が絶えない。民宿の名前は「二風谷荘」地名からつけたようだ。

連絡をくれたご主人は紋別に出かけていなかったが、奥さんが今日戻ってくるといった人がまだ戻ってこないと心配そうに言っていたので、近くの宿に水位の情報が入っているか連絡したところ、4人の人が山を登ると言っているとの情報を得る。とりあえず安心して明日持っていく荷物の支度をする。食事前に入浴しようとしたところ、近くに温泉施設があるというので、車で送ってもらう。400円で入れて、広々としている。駐車場やコンコースも本土の施設よりゆったりとしている。また、平取和牛が売ってあり、100gで1500円前後と高いが美味しそうだ。宿に戻って、食事をし、明日が早いので、8時半には寝る。

7月13日(日)
午前0時に目が覚めてからよく寝られなかった。2時に運転手の山崎さんを起こして、2時15分に出発する。30分程度で国道を離れ、山道では鹿がライトに照らされて数匹見かける。4:00少し前に駐車場に着く。ところが、以前より手前になってしまったらしい。ここから約30分歩いて、ようやくもう一つの地図のゲートにたどり着く。同じような、幅の広い道をさらに進み、北電の取水施設に6:00少し前に着く。しばらくして、幌尻山荘4kmの表示がある。やがて、最初の渡渉地点が出てくる。草鞋や運動靴が置いてあった。用意してきた海パンと渓流靴に履き替える。

最初は浅かったが、2回目は深く、太ももの中ほどまであった。水も思ったほど冷たくなく、赤い布があり、迷うことはなかったが、2か所ほど深いところがあり、渡るところを迷った個所もある。結構時間がかかり、結局山荘に着いたのが7:45になっていた。
ここで、沢の服装からまた登山の服装に着替え、渓流シューズは一時山荘に置かせてもらう。管理人が掃除をしていたが、いかにも愛想がなさそうである。予約をしてなくても緊急の場合は泊めてくれると言っていたが、たっぷり嫌みを言われそうだ。持ってきたパンで朝食にする。山荘付近は静かで、既に全員出発したようだった。山荘から命ノ水まで急な道ではなかったが、渓流を超える時流れに持っていかれないよう足を踏ん張ったのか、疲れが出て、思うようにペースが上がらない。30分に1回と決めたのに、30分を待てずに、時々休んでしまう。それでもなんとか、予定より10分遅くなったが、10:00に命ノ水に着く。命の水に着く少し前に稜線に出て、戸蔦別岳が形の良い姿を正面に見せる。

ここから道が急になるが、両側から伸びた枝につかまると結構登りやすかった。急な道が終わりかけると、正面に岩がごろごろして、形も良いとは言えない、幌尻岳が見えてくる。

どうもペース配分からすると、4時に登山口で待ってくれるように言ったが、無理のようなので、上から下りてきた若い人のグループが登山口まで降りるようなので、山崎さん宛のメモに遅くなる(5時過ぎになる)旨書いて、渡してくれるようお願いする。幌尻岳山頂には12:00丁度に着く。

昼食を食べようと思ったらガスが出てきて、展望はよくなくなる。コンロを取り出し、バーナーで火をつけるが、誰もいなくなり、山頂直下でパンを食べたせいか、食欲もあまりない。レトルトご飯も多く、残飯を見えないよう捨ててしまう。その後、2人ほど下から上がってくる人がいた。山頂付近は花もあまり咲いてなかった。
 食事が終わり次第、下ることにする。ハイ松の枝が道に伸びてきているところもあり、歩きにくい。命ノ水からは道も急に緩やかになり、下りやすかった。山荘までには急いで下ったせいか2時間(2:30)で下ることができた。山荘前で2名の渓流を下る姿の人がいたので、同行させてほしいと申し入れる。了解してもらったが、ペースはそんなに変わらなかった。帰りのほうが沢の水温が上がり、気持ちよかった。渡渉終了地点まで行きと同じ1時間45分ほどかかり、渡渉終了地点に着いたのは4:30になっていた。ここで先ほどの2人と別れて、着替えて、駐車場へとへ向かう。このころになると疲れが出て、足も痛くなり、歩くペースもだんだん遅くなる。ちょっとした上り道がやけにつらく感じる。ようやく駐車場に着いた時はすでに6:25近くになっていた。山崎さんはメロンパンを買って待っていてくれた。メモも受け取ったようだ。2時間半も待っていてくれたのは、地方(北海道)ならではの気の長い性格からではないのか。感謝!あとからついた人はこれから自分の車を運転して宿泊の宿に行くとのことだった。
宿では今帰るかと待っているから、汗でびしょびしょになったシャツを着替えもせず乗り、居眠りしながら8時半に宿に着く。さっそく風呂に入らせてもらうが、どうも湯船の湯の温度が緩い。しかも底のほうがもっとぬるい。冷たくて湯船に入る気がしないので、シャワーやらお湯をかけて体を温める。筋肉をほぐすどころではない。食後、すぐ寝る。
イソツツジとコケモモオオタカネバラとミヤマキンバイ
7月14日(月)
 今日は稚内への移動日だ。湿布薬を買おうと思ったら、10時からしか開いてない。一度駅に戻って時間があったので、利尻の観光協会から宿の予約をしようと思ったら、宿から登山口まで送迎をしていますとのこと。持って行った地図から104で尋ねて宿を予約すると、「長官山に11時までには着くよう言われていますので、行きの送りはできません」とのこと。今更飛行機の予約をとろうたって、空いているかどうか分かりはしない。ちなみに飛行機を携帯から調べてみたら、料金が23500円と高い!今日は1日電車の中で筋肉痛をもみほぐしていた。明日予約した利尻の宿にはストックの置きがあったら貸してほしいとお願いしたら、120cm程度ならお客さんが置いていったのがありますからどうぞと言ってくれた。
 稚内には18:00過ぎにつき、ドラックストアで湿布薬を買い、入浴後しっかり貼っておく。この日、飛行機の予約やら明日の足の具合やら心配したうえ、廊下の非常用ライトがちょうど部屋の前にあり、夜中に何回も目がさめたりして、よく寝られなかった。

7月15日(火)
 5時頃起き、顔を洗っていたら、疲れから鼻血が出た。部屋で、足のもみほぐしを丹念にやって、弁当をもらい6時前に宿を出る。フェリー乗り場まであるいても10分程度だが、車で送ってもらう。リュックを背にしている人は利尻に登ろうとしているのではないか?ちょうど乗り込むとき2人(と言っても別々の行動の人)これから登山ですかと声をかけると、車であちこち回っているようだ。二人とも60歳前後で、一人の人は300名山をほとんどこなしているという。聞いていると足も速く、幌尻よりすごい山があるという、超ベテランだ。私にはとても無理だ。二人とも島には泊まらずに、最終で帰るという!忙しい!(結局一人は泊まることになったようだ)船内で民宿で作ってもらったおにぎりで朝食にする。

鴛泊について、タクシーで予約した宿に一時荷物を置いて、ストックを借り、登山口である北麓野営場へ向かう。宿で荷物をお願いするとき、宿のご主人に「山をなめとんのか。うちは夕食が6時からなので夕食抜きか」と厳しい口調で言われる。返事に困り、すぐ引き返しタクシーに乗ろうとしたが、今度はタクシーの運ちゃんに「降りようとした時シートベルトを急に外。したので、金属部分でドアのビニールが破れてしまった」と小言を言われ、すみませんと謝る。登山口には8:30に着き、身支度を整え、すぐ出発する。ここには公衆電話もあり下山したら迎えに来てくれるようだ。甘露泉というおいしい湧水のそばを通り、四合目野鳥の森と5合目までは風も通らず蒸し暑い。五合目は展望が急に開けて樹の上から市街地が見えて、気持ち良い。ここから七合目までは石こそゴロごろしているが歩きやすい。七合目(約900m)を過ぎると道は長官山目指して急になる。ここから8合目の長官山まで約50分かかる。途中トイレはあるが、ここ利尻岳は排泄物は携帯トイレでお持ち帰りのようだ。八合目の長官山で正面に利尻岳山頂を目にし、すごいと思わずうなってしまった。

 雲の間から、天に聳えるように見える頂は、疲れた登山者を追い返すのに十分な迫力がある。ここからは下を向いて登るようにしよう。10分ほど休憩し、ゆったりと腰をあげ、あと2時間と言い聞かせる。避難小屋までなだらかな巻道を進み、小屋を過ぎると登り道になる。トイレのある九合目まで40分かかるが、ここからが利尻岳への最大の難所だ。スコリアという軽石が登山道を覆い、ザレ場が山頂直下まで続く。今置いてある足の位置と次の足を踏み出す場所を考えながら、ロープにつかまっても、体が回転もせず、滑らないよう体全体の向きを考えながら登らなければならない。体力と技術が必要とされるところだ。山頂には13:30に着く。
右後方は道本土後方は礼文島
山頂付近の岩山頂から利尻市街地を見おろす
コバイケイソウタカネトウウチソウとミヤマシシウド
チシマギキョウ
船で一緒になった人がいた。今日は5時30分の最終便は厳しいから島で1泊するとのこと。礼文島がすぐ近くに見え鴛泊の港や、道本土や稚内の市街地も見える。山頂には祠もある。すでに昼を過ぎていたが、疲れとようやく着いたという安ど感のためか、お昼はおにぎり半分で十分だった。記念撮影をすませたあと、下山に時間がかかるといわれたため、20分程度で山頂を後にする。九合目までの下りは登りより神経を使ったが、それでも3回ほど足を取られて滑ってしまう。最初の滑りで左腕の肘の下に出血する擦り傷を負う。血が流れてきたので、九合目で水で傷口を洗い、バンドエイドをつける。長官山には3:00に着く。

ここまで降りるとホッとするが、まだ下り道は石がゴロゴロしている。足の爪もはがさないよう気をつけねばならない。七合目は3:50五合目は4:30そして北麓野営場は5:30に着く。登り5時間下り3:40だった。途中で飲んだ甘露水は甘くておしいかった。自宅まで汲んで帰りたかったが、荷物が重い、今回は断念しよう。迎えに車の中で宿のご主人が、山の遭難(事故や怪我)が多く、そのたびに駆り出され大変だと漏らしていた。
 宿で入浴後けがの手当てを行い、バンドエイドを付け替える。足の爪は気をつけてはいたが、左がまた駄目のようだ。しばらく痛いかもしれない。まさか山にガーゼを持って行くわけにもいかず、なんとか、軽い靴の爪対策を考えよう。それと、今回ストックをもって初めて分かったが、結構手にマメができる。また持ち換える時などで、反対側の手がすれてしまった。
 降りてきて後で気がついたが、用足しは1回も行ってないほど、汗で水分が抜けていた。
 また、今回のコースで前日までに島に入るとしたら、千歳からの1日1便しかない飛行機に乗らざるを得ない。飛行機代は23,500円と高い!また、宿で山への注意書には、登山する方は送迎車が朝5時に出発しますとある。5時とは少し早い気がするが…。

費用 羽田―新千歳空港 18,500円  旭川―羽田 15,000円 
    道内移動費 34,000円(送迎え礼含む) 宿泊費(4泊) 32,300円 昼食代等 4,000円 土産代 15、600円
計 約120,000円

※ JRに聞く。「大人の休日倶楽部」が北海道にもあるそうですが、東日本と提携しないのか?(道内に住む人が道内を旅行するとは限らない)
※ 今回はコースの設定にやや無理があった。筋肉痛がひどくまた両足の爪をはがす羽目になる。ひそかなストックなし100名山の記録もあえなく挫折。