5月15日(金)〜18日(月)開聞岳・屋久島縄文杉

15日(金) 自宅6:10ー羽田空港8:35−10:20鹿児島空港10:30−11:20鹿児島駅11:53ー開聞駅13:45−開聞岳登山口13:55−14:40五合        目14:45−15:35八合目15:40−16:15山頂16:35−登山口18:10ー指宿温泉18:40
16日(土) 指宿温泉8:00−8:10指宿港8:30−9:45宮ノ浦港10:00−レンタカー営業所10:15ー宮之浦港10:30−民宿岳杉荘11:00−11:30        白谷雲水峡11:40−弥生杉12:00−13:00三本足杉13:40ー14:30白谷小屋14:40ー15:10太鼓岩15:20−白谷小屋16:00−白        谷雲水峡16:40ー17:10民宿岳杉荘19:30ー20:00永田いなか浜22:00ー民宿岳杉荘22:30
17日(日) 起床4:00出発4:30−5:30荒川登山口5:40−6:25小杉谷集落跡6:45−7:10楠川分れ7:15−8:15大株林道8:30−8:55ウィルソ        ン株9:05ー9:40大王杉9:50−10:15縄文杉10:35−11:10昼食12:00−12:40大株林道13:00−15:00荒川登山口15:10−1        5:30屋久杉ランド16:10−16:50安房民宿「あんぼう」
18日(月) 民宿7:30−8:00トローキの滝8:25−8:40平間海中温泉9:00−9:15湯泊温泉9:30−9:50中間10:10−西部林道ー11:00永田11        :15−12:10安房レンタカー営業所12:30−12:40安房港13:30−15:30鹿児島港15:40−16:40鹿児島空港19:40−21:30羽田        空港21:55−22:45たまプラーザ駅22:50−自宅23:00

 今回は定年退職後の最初の山の旅行だ。かねてより行きたいと思っていた(何回も出てくる言葉だ)屋久島の縄文杉と九州の未踏百名山の中では離れている開聞岳に登ってきました。さらに、感動のウミガメの産卵や指宿温泉の砂蒸し風呂、何回入っても飽きない平間海中温泉、自然豊かな屋久島の猿や鹿そして杉の大木、苔のみずみずしさ、豪快な滝、日本最南端を走る枕崎線と周囲の海の青さ、南洋の雰囲気、どれをとっても素晴らしかった。また、忙しいさなか、同行してくれた長男、ご苦労様。
 準備は4月に入ってから始めた。最初は九州百名山の3山ツアーを山の旅行会社に申し込んだのだが、何か物足りなく、自分で行こうかとも考えたが、個人で行くと行動は自由になるが、余分に費用がかかる。どうしようかと思っていたのが、屋久島の山には登ったが、縄文杉には行ってない。最近、テレビで見るたびに一緒に行っておけばよかったと思うが、宮ノ浦岳に登った7年前当時、もう一度行ってみたくなるのが屋久島だと感じた。
 さて、4月中旬、最初は他の山もあり、11月中旬と計画していたが、5月15日からウミガメの産卵の観察会があることが分かり、長男に連絡したところ、15〜18日なら、予定は開けられるとの返事があり。早速、飛行機、宿、レンタカー、産卵観察会(ウミガメ連絡協議会)の手配をした。また、タクシー会社に大凡の時間や料金を確認にした。最後になって、平間海中温泉の潮との関係を確認したところ、干潮から2時間前後しか入れないとのこと。17日に行く予定だったが、干潮は朝6時とのことなので8時過ぎでは無理だとわかり、最初は縄文杉を先に行く予定を逆にして、15日に開聞岳を登ってしまおうと思い、時刻等を調べたら、可能なことが分かり、今回の予定に変更する。
 さて出発日近くになり、天候が気になり、週間天気予報は16・17日の雨の確率が50・60と高い。鹿児島気象台に問い合わせたところ、前線の通過で、遠いとしとしと降る程度だが、近づくとザーと降る可能性があるとのこと。屋久島だからある程度は仕方がないと一時は思ったが、出発日が近づくにつれ、雨の予報は17・18にづれこむ。パソコンで、縄文杉の紀行録を広げ、参考になる資料をプリントアウトする。トロッコの鉄道の道が勾配は緩やかだが、約7kmと長いようだ。駐車場も20台程度しか止められず、遅れると車を止めるのに苦労するようだ。
 当日、東京もいい天気だったが、北風が強く寒い朝だったので思わず長そでシャツを持って行ってしまった。空港で長男と待ち合わせ、飛行機に乗り込む。羽田を飛び立ち、鹿児島は晴れとの飛行機の中で聞く。今日は日程が厳しい。特に鹿児島空港に着いてから鹿児島中央駅発の列車が出発するまで1時間28分しかなく、間に合わないと計画が台無しになる。この日は遅れることなく、逆に5分程度早く空港に着き、中央駅行き10:40発のバスに乗れた。中央駅には11:30に着き、5分ほど歩いて、駅に着き、切符を買ってホームに入ると、まだ前発の電車がホームに入ってなかった。電車の色が黄色で面白いと長男が言う。こんなところに気がつくのは面白かった。改札口に戻り、駅弁を買い、53分に発車した電車の中で早速広げる。安くておいしかった、首都圏とは物価が違うようだ。電車の中からタクシー会社に予約を入れる。やがてきれいな海が左手に見え始め、駅には最南端駅とか最南の有人駅だとか、篤姫ゆかりの地とかいろいろ案内がある。


 知覧駅は太平洋戦争時、特別攻撃隊基地のあったところだ。指宿駅を過ぎて、しばらくすると、正面に三角形の形のいい開聞岳が見えてきた。
 
開聞駅には予約したタクシーが待っていた。無人駅で何もない。
 
 登山口に7〜8分で着き、一部荷物を預け荷を軽くして山頂を目指す。

 渦巻き状の登山道と聞いていたので、勾配はそれほどきつくないのではないかと考えたが、登山口には山頂まで2時間半とある。登山口が標高約150mなので、約770m登るようだ。最初はそれほどきつくなかったが、うっそうと木が茂っており、展望はおろか風もない。

 五合目を過ぎると山道らしくなり、七合目から先は急になり本格的な山道になった。五合目を過ぎると所々から展望があり、海や海岸線がきれいだ。池田湖も望めるようになった。タクシーの運ちゃんには迎えは夕方17:30〜18:00の間と言っておいたが、17:30下山はどうしたって無理だということがわかってきた。

 
山頂には16:15に着く。360度の展望がある。北側の池田湖や南側の海岸線の展望が素晴らしい。風もあり、汗を拭う。87番目の百になった。山頂から下山時間を18:00になる旨、タクシー会社に連絡する。


 いつまでもゆっくりしたいが、下って、夕食時までに宿に行かねばならない。20分ほど休憩して、山頂を後にする。下りは五合目で休憩し、いたって順調だったが、登山口には約束の10分遅れで到着する。待っていたタクシーで今日の宿の指宿シーサイドホテルに向かう。地図で見ていたとおり、海岸線(砂浜)
のすぐそばで、部屋も6階で南向きのいい部屋だ。さっそく着替えて、カウンターで一人1050円の券を買い、砂蒸し風呂に向かう。ガウンに着替えて、部屋に入ると、砂の上にシートがかぶせてあるが誰もいない。すみませんと声をかけると、奥からおばちゃんが4〜5人出てきて、シートをめくって、持ってきたタオルを顔に巻き口にくわえて仰向きに寝てくださいと言われ、小さなまくらを頭に寝る。タオルで砂がかからないようにしてから、砂をかけた。

 時間は12〜3分が限度ですと説明があった。砂は温かく、ずっしりとしている。うっすらと汗をかく。腰の上部が熱い。時間が来たので、立ち上がり、砂を払うために用意されたぬるま湯で砂を落とし、隣の男湯に向かう。温泉はやや白濁していて、硫黄の香りがかすかにあり、塩の味がする。
 入浴後食事をする。タクシーの運ちゃんが行っていた料理の中で、豚骨がないので、2人分注文する。しっかり煮込んで甘辛味がついた豚の肉とゴボウ、こんにゃくがおいしかった。酒はもちろん、おいしい生ビールだが、長男は2杯飲んだ後焼酎を飲みたいといい、注文したら、芋しかないとのこと。鹿児島らしい。芋は独特の臭みがある。酒が済み、食事もほぼ片付いた頃、いつのまにか9時になったらしく、係りの人が来て時間になりましたと告げられた。気がついたら周りには誰もいない。ごちそうさと一言言い、食堂を後にする。部屋に戻ってテレビを見ていたが、疲れと酒の酔いでこの日はすぐ寝ついたようだ。

5月16日(土)
 6時前に目が覚めると、朝から晴れて気持ちがいい。

 6時に長男を起こして、風呂に入る。旅行先の朝風呂は応えられない。風呂も東向きで朝日がまともに差し込んでいる。身支度を整え、7時に朝食を摂る。日本食のバイキングだったので、いつも慣れているパン食がなくややがっくりする。米の水分が多めで残念っだった。鹿児島は米の生産に適した土地があまりないのでいたしかない。
 8時にお願いしたタクシーで指宿港に向かう。歩いて15分くらいと思っていたが、結構あるようだ。
 船の待合室で待っていたら、長男がいつの間にかいなくなっていた。船が接岸したと告げられたが、周りを見渡してもいない。ようやく出港2〜3分前になって、あらわれた。どうやら旅先で腸がすっきりしない ようだ。船はオレンジ色のトッピー7号だ(トッピーとはトビウオの愛称のようだ)。

 出港すると間もなく右手に昨日登った開聞岳が見えてきたが、今朝は山頂に雲がかかっている。

船は揺れもせず快適。長男は日ごろの疲れのせいか、いつのまにか寝ている。屋久島がなかなか見えてこない。ようやく到着20分ほど前になって見えてきた。山が、そして町が懐かしい、7年ぶり3回目の屋久島だ。

 トッピー号は時間通り島に着く。降りるとレンタカー会社数社の人が看板に氏名が記入されている板を掲げている。全員が集まるのを待ってとりあえず営業所に行く。予約しているグループが多く、代表で一人しか迎えの車に乗れず、長男は港で待ってもらった。カローラを希望したが、満車とのことで、イプサムを配車された。カーナビとの操作方法を聞いて、早速運転する。
 港に戻り、長男を拾い、とりあえず今日の宿に向かい、白谷雲水峡に不要な荷物を下ろす。民宿の部屋は別館の新館で風呂トイレ付だ。白谷雲水峡は7年前にツアーで来たことがあるが、コースは3つあり、前回は弥生杉のコースしか回っていないようだ。今回は3つすべてのコースを回ったら、5時間近くかかった。

 入り口で300円の「森林環境整備推進協力金」を払い入る時、屋久島は最近雨は降っていますかと尋ねたら、ゴールデンウィークから降っていないとのこと。屋久島に雨が少なくなったのは地球温暖化のせい?なにしろ雨が月に35回降ると言って有名になったのは林芙美子の言葉だから。とりあえず最初に弥生杉の弥生歩道コースを回る。弥生杉の裏側に回るとがけ崩れのところがあった。7年前には記憶がないので、最近発生したのではないか?さつき吊橋に戻り、二代大杉を経由して、三本足杉で昼食にする。

昼食後、びびんこ杉、三本槍杉、奉行杉二大杉、くぐり杉を見て


白谷小屋で休憩する。小屋のすぐそばには鹿が一匹おとなしく座っていた。

脇水が導水され汗をかいていたのでおいしかった。ここでリュックを置いて空荷で太鼓岩を目指す。辻峠からの急坂を登り、太鼓岩に着く。

 林から抜け出し、山の展望がある。山頂こそ雲がかかっていたが、明日行く縄文杉のトロッコ林道のコースや縄文杉のあるあたりが望めた。
 太鼓岩から白谷小屋に戻る途中で、たくさんの人が休憩し、写真を撮っていた。どうやら「もののけ姫」に出てきた場所のようだ。苔や樹がうっそうとして、太古の昔の森林のイメージがある。

 白谷小屋に戻り、リュックを確保し、雲水峡入口に戻る。
 さつき吊橋からは渓流のそばの道となり大きな岩の道以外は道もしっかり整備され、歩きやすい。
 宿には5時過ぎに戻り、風呂に入ってから夕食を食べる。これからウミガメ産卵を見るのでアルコールは飲めない。近くのスーパーでノンアルコールビールを買いに行ったが、売り切れでないとのことだった。宿の人に聞いたら、初日の昨日は11時頃になってようやく1匹浜に上がってきたとのことだった。
 食事を終え、次の日が早いので、宿の精算を済ませる。
 7時半に永田を目指して車で出発する。すでに真っ暗で、カーナビも利かないとのことでやや不安だった。道路わきに反射鏡があるだけで道路照明もない。30分かかるとのことだったが、30分近くたっても町の灯が見えない。行きすぎたのかと思い、途中止まっていたが、通り過ぎる車が数台あったので、まだ先と思いスタートし、途中脇から出てきた車に尋ねたらまだ先のことだった。携帯も通じないので助かった。
 やがて、先の車がライトを持った人に止められてようやく到着したことがわかった。誘導で駐車場に車を止め、降りる。すぐそばにプレハブらしい建物があり、受付を済ませ、ビデオで説明を見る。9時近くなって、説明が始まる。昨日はやはり11時になってようやく一匹上がってきたようだ。説明を受ける中で、「今日は3匹ほど上がっているようです」とのこと。今日は見れそうで良かったと思った。亀は浜に上がって、生むところを探すまで外敵がいないか周りに神経を使っているが、生み始めると生むのに集中する性格とのこと。また、砂を掘り始めても、固いものがあったり、掘っても崩れるところはあきらめて違う場所に行ってしまうとのこと。もちろん真っ暗やみの浜なのでライト、ストロボ等は使用禁止。携帯電話も電源を切っておくこと、喫煙、ライター等使用禁止、騒がない、案内人に従い歩き回らない、ウミガメには触らないとの注意があった。
 説明が終わり、浜に入りますので前の人に離れないようにとのこと。浜は真っ暗、それでも前の人を見逃さないよう歩く。砂が柔らかくなっているところがあり、歩くのに神経を使う。空を見上げると満点の星が輝いていた。。いったん進んだが、産卵をあきらめたらしいとのことで少し戻る。停止したところで、ここで産卵が今始まりましたとの説明があった。「前の人から少しづつ見たら、後のグループ譲ってください」とのこと。いよいよ順番が回ってきたら、産卵している穴とおしりの産卵のための突起が見えた。確かに穴の中には卵が見え、突起からは1回に卵が1〜2個落ちている。見えやすいように小さなライトを砂の中に埋め、おしりが見えやすいようにしてある。
 別の観測員が来て、甲の大きさ(縦、横)や過去の発信装置の有無を調べていたが、ないようなので、注射針で注入するとともに、前足に発信装置を埋め込んでいた。亀は少し痛そうで、埋め込まれた瞬間前足を大きくずらしていた。卵は150個ほど生んだとのこと、平均よりり多めらしい。
 やがて産卵が終わると、砂をかけ始め、まず後ろ足で、次に後ろ足と前足で交互に、そして体重をかけ、踏み固め始めた。丁寧に時間をかけている。ただ時間が10時近くなり、明日の朝が早いので、そろそろ引き揚げようかと思っていたら、係の人が10時になりましたので、明日早い方は手を挙げてください、係員が案内しますとのことなので、数人の人と一緒に浜に引き上げることにする。

 浜の出口でお礼を言い、駐車場は我々の後ろにも数台停まっていたので、少しづつバックしてもらい、車を出す。
 宿には10:30過ぎに着き、布団を引いてすぐに寝る。興奮しているせいか、明日のことを考え過ぎたのか、あまり寝付きはよくなかった。

5月17日(日)
 今日はいよいよ縄文杉だ。寝付きが悪いのに、1時半、3時、3時半に目が覚め、3時半からは寝られなかった。4時5分前に長男を起こし、身支度を整え、朝食の弁当を誰もいない玄関でリュックに入れ、4時半に出発する。まだ薄暗いが、30分走った、安房からは明るくなり、ライトもいらなくなる。登りの道を尾立峠まで登ると、荒川ダム登山口まで緩い下りとなる。登山口近くなると、車が片側駐車している。すでに20台の駐車場は満杯のようだ。止まっていた車が少し進みますとのことなので、ありがたく空いた場所に止めさせてもらう。
 登山道入り口にはトロッコや建設機械が置いてあったが、トロッコはかなりさびている状態だったが、レールと枕木はいまだ健在だ。記念写真を撮った後、出発する。

 一緒に歩いていると、案内人をつけて登っている人がかなりいるのがわかった。小さなトンネルを抜け、雨が降らないせいか苔が取れている一枚岩のそばを通り、小杉谷集落跡に着く。

 説明板によると、大正12年木材産業の集落ができ、昭和35年には416人(小学生104人)の集落だったが、その後木材産業の縮小により昭和47年に無人になったようだ。校庭の広場と校舎の基礎石ブロックが当時の名残をとどめ、残っていた。ここで朝飯にし、しばし休憩する。

  朝食後の道には、レールの中央に木材が2列に並べられており、大変歩きやすかった。が、これで頭を使わなくなったので、5kmほどの道が大変長く感じた。特に帰りは疲れも加わり飽きてきた。楠川別れを過ぎ、大株林道まで同じような道を歩く。
 大株林道で大休止する。

 この時間になると暑くて汗もかいてくる。渓谷から水がひかれ、冷たくておいしかった。
 多かる林道からは階段で始まり、翁杉まではやや急な登りだ。

 翁杉を過ぎ、ウイルソン株に着く。切り株しか残っていないが、見ごたえのある杉の株だ。

 ウイルソン株を過ぎると、木の階段がしっかり整備されていたが、急で長い階段もあった。さらに夫婦杉を過ぎると、登ったり下りたりの道になる。

 縄文杉には予定通り4時間半で着く。

 階段と手摺が整備され、縄文杉に近づくことはできない。幹が同じ太さでなく、根元や10mの高さのところで少しくびれている。縄文杉の成長段階で何かあったのだろうか、想像させるものがある。ただ、見るだけで、偉大さが伝わってくる。記念写真後、しばし休憩する。高塚小屋まで200mの案内があるが、この偉大な杉を見ては、これ以上進む気がしない。引き返すことにした。
 帰りは団体に多くすれ違ったため、待ち時間が多く、大王杉まで結構かかってしまった。ここで11時過ぎになり、道からやや離れた所に休める広場もあったので、昼食にする。昨日民宿の近くのスーパーで買ってきたカレーとハヤシにする。ご飯のパックが大きく、全体が湯の中に入らないので、左右交互に温めたので余分に時間がかかってしまい、蒸す時間も足りなかったので、ご飯がぼそぼそしていた。それでもルーをかけたので、食べるのには不自由しなかった。食事している間に広場は他の人も休み始めたので、食事が終わるころには結構な人数になっていた。
 朝食が終わり下り始めると、登ってくる人はかなり減り、待たずに下れるようになった。大株林道に着き、汗を拭き、おいしい導水を飲み、大休止する。あとは道は楽だが、暑くなってきたし、道は長い。
 歩き始めて、あまりにも単純なので、飽き飽きしてきた。

 このトロッコ道は行きか帰りに1回通ればいい。往復通ると長くてうんざりする。やがて楠川分れに出て、小杉谷集落跡で休憩し、橋を2回渡って、登山道出口に3時に着く。暑く、かき氷屋が出ていた。車を駐車場でUターンさせ、出発する。風が気持ちいい。
 尾立峠に出て、時間があるので、屋久スギランドに寄るため、峠を右折する。途中から天気雨が降り始める。屋久島に来ての雨は大学4年の時、平間海中温泉に入っているときの写真に雨に降られたとの説明があり、今回で2回目だ。屋久杉ランドは白雲峡と似ているので、最短のコースしか回らなかった。屋久スギランドの奥には紀元杉があり、さらに奥に入ると、宮之浦岳の登山口である、淀川小屋登山口に着く。今日は元来た道を戻り、安房の宿に向かう。
 宿に着く手前の酒屋でビールを買う。宿の民宿あんぼうは安房川の河口にあり、港が目の前だ。
 宿について、部屋が暑いので、クーラーを入れるが、あまり冷えない。時々、風口が閉じられる。とりあえず、汗を流しに風呂に入る。風呂から出ても、クーラーの調子は良くならない。そのうち、水滴が畳の上に落ちてきた。酒屋で買ってきた缶ビールがなくなったので、ビールを頼んだ時に、このことを宿のおばちゃんに話すと、この間分電盤を変えたばかりだという。今日は日曜日で休みだが、なんとか電気屋さんに連絡してきてもらうようにするとのこと。やがて電気屋さんが来て、パネルを外し、様子を見ていたが、今日は部品店が休みで修理が難しいとのこと。結局おばちゃんが扇風機を出してくれ、何とか一晩過ごすことにする。宿は料金がリーズナブルで、浴衣も標準装備でなく、オプションとのことだった。宿の部屋の前の道路にあるイスと机で、酒盛りをしていた。夜になっても涼しくないので、雰囲気は出ないようだ。
 夕食時にビールの後長男が焼酎を頼んだら、芋しかないとのことだった。夕食後、昨日の寝不足もあり、9時には寝てしまった。寝る前に自宅に電話したのも覚えていなかった。

5月18日(月)
 朝は曇りだ。昨夜は早く寝たので、気分もすっきりしている。長男は私が寝た後、近くを散歩したとのこと。
 7時の朝食後、精算を申し込んだら、クーラーを故障して迷惑をかけたから飲み代は結構ですとのこと。おばちゃんの優しい、たくましい心意気を感じた。
 7時半に出発して、平間海中温泉が入れる時間までに着かなくてはならない。途中ブーゲンビリアをの大きい花を見つけ、カメラに収めて、

 まず、トローキの滝を見学する。長男が「今滝の標識があった」というので、急ブレーキを踏みとめ、少しバックする。駐車スペースがないので、路肩を少しはみ出して止め、木の間の道を歩いて滝の見えるところまで進む。

 滝を見てから、平間海中温泉に向かい、県道78号線を左に入る。途中から道が急になったかと思うと、先に入った軽がすれ違いをする車のところで止まってしまった。やがて下から手招きしたのでゆっくりと下るとそこが海中温泉の駐車場だった。
 先の軽に乗った1人女性が降り、海岸に向かっていた。タオルを持ち、100円の利用料を払い、温泉に向かうと、先に行った女性が「着替える場所がない」と言っていた。近くのオジサンが「誰も見ていないよ、着替えてバスタオルで巻いてはいりなよ」と言ったら、勇気が出たのか「せっかく来たのに足湯じゃもったいない」と言い、私も思わず「平気、我々も見ないよ」とさらに勇気づける。やがて着替え、バスタオルに身を包んで、3つある湯船に来る。私が最初に入ったので、「そこは熱いよ」とか「端は底から湯が出ているので熱いよ」とか「下がぬるぬるして滑りやすいよ」とかアドバイスする。お礼を言いながらも、写真を頼まれたので、シャッターを押してあげる。聞いたら奈良県から一人で来て、明日は白谷雲水峡に行くとのこと。今時の女性は勇気があると感じた。我々が出てから、団体さんがたくさんやってきた。中には足湯だけの人もいた。

  さて、平間海中温泉を出た後、隣の湯泊温泉に向かう。ここは着替える施設もあり、海水パンツをはいてもいいとのこと。ただし、海岸からもやや遠く、ぬるくて入った気がしない。

  湯泊を出てから、中間のガジュマルとフルーツパークに向かう。ガジュマルのそばで車を止め、見学をしていると、胸にボランティア説明員と名札を付けた人が寄ってきて、上流で工事をするためにガジュマルのひげ根が切られたとか、川が濁ってしまったとか言っていた。

 また、フルーツパークは団体さんがよく来るが、ガジュマルの木のことは知らずに素通りしてしまうので、機会があるたびに呼び止めて説明してあげているとも言っていた。また、大阪で仕事していたが、メニエール病になって2年前この故郷の中間に戻ったら、1年ですっかり治った、とも言っていた。そのうち、ここから先の場所でこの先に島が見えるいい眺めのところがあるから皆さんに進めているとも言ったので、フルーツパークとどうすると長男に聞いたら行ってみようということになった。
 あいにく今日は曇り気味で島は見えなかったが、展望のいいところだった。
 さてここまで来ると、安房まで、戻っても逆に回って一周しても同じ距離になったのでどうしようかと提案したら、一周しようかという結論に達し、西部林道を通り、途中で猿の毛づくろいを道端でしている大群にあい、思わずシャッターを切る。

  すれ違いのできない狭い道を走り、おとといの産卵を見た永田浜で休憩をする。おとといは真っ暗闇で何も見えなかったが、砂浜がきれいだった。

 やがて、一昨日の産卵見学の受付の会場を通り、宮之浦を通り、安房のレンタカー営業所に12:10過ぎに着く。

 無人だったので連絡を入れ、レンタカーを引き渡し、港まで送ってもらう。
 とりあえず先に切符を買い、昼食に近くのスーパーに行く。ビールとうどんを食べ、最後の屋久島に別れをつげる。ここのおばちゃんは山口の萩から来て、娘さんが大きくなったのにまだ一人は片付かないと嘆いていた。また屋久島も最近は昔みたいに雨が降らないと話していた。
 やげて港に戻り、土産を買い、13:30の出港を待つ。時間通り、船は港を出て、一路鹿児島港へと向かう。船の中では空港行きのバスの予約を受けつけていたので、申し込み、買っておいたビールや焼酎を飲み、いつの間にかうとうとしていた。船は右側に佐多岬灯台を見て鹿児島湾に入る。

 鹿児島港から桜島が大きく見えた。
 
 船の中で予約いておいたバスで鹿児島空港に向かう。
 空港内で薩摩揚の土産を買い、19:40の羽田行きに乗る。羽田には20:30に着き、バスでたまプラーザ駅に向かう。駅にはあらかじめ長男の家内が車で迎え来てくれており、自宅に帰る。
 家内はすでに寝ており、明日の勤務に備えて、風呂に入って就寝する。
 退職してそろそろ遊びたくなった最初の旅行は、長男と二人の楽しく盛りだくさんの内容で、天候にも恵まれ無事終わりました。