10月10日(日)〜12日(火)下ノ廊下(旧日電歩道
コース
1日目 自宅6:45―7:30新宿駅8:00ー12:05信濃大町12:30ー13:10扇沢13:30―13:45黒四ダム〜15:00ヒュッテ黒四
2日目 ヒュッテ黒四5:00〜6;55内蔵助分岐〜9:30黒部別山谷出合〜11:10十字峡11:20〜13:15東谷吊橋〜14:45阿曽原温泉小屋
3日目 阿曽原温泉小屋6:00〜7:20折尾谷7;25〜8:35志合谷トンネル8:50〜10:00欅平10:15〜10:55欅平駅11:04ー12:30宇奈月温泉駅13:18ー13:56魚津駅14:06ー17:20
東京駅

 数年前(もしかしたら10年前以上)に今回のコースの写真を見て、スリルがあるが怖いところだなと感じ、山ではないが是非、将来歩いてみたいと思っていた。
 ひょんなことで今回行ってみたいと思ったのは、例年秋にJR東日本大人の休日クラブが3日間乗り放題で12000円の破格サービスをやっていたが、何故か今年はなくなった。12月に延伸する東北新幹線へキャンペーンを先送りしたようだ。楽しみにしていたのがなくなったので、代りに行くことにした。
 実は9日(土)からの3連休を予定していたが、土曜日は天気が悪く、12日(火)は勤務日ではないので1日先延ばしにした。道幅が狭く下は断崖絶壁で、雨で滑ったら危険なところへ行くのはさすがに躊躇した。
 10日(日)
 朝も雨が残った。自宅から出発する時、あまりに寒いので、今までのスパッツはやめ、急きょ冬のズボンにしてしまった。
 新宿駅でバスに乗り込むと7月に乗った時と大違いで、車内はガラガラで私を入れて全員で6人ほどしかいなかった。高速道路も順調で、予定通り12時過ぎに信濃大町駅に着く。ところが昼食を食べる食欲がない。無理して食べずに、夕食をおいしく食べられれば良いと思うようにした。
 信濃大町からのバスは満員で、立っている人もいる。
 扇沢から乗り換えてトロリーバスで黒四に向かう。バスは5台ほど間隔をあけて連なって走る。すれ違いのバスはすし詰め状態で立っている人もいっぱいだ。
 終点で降り、今日は時間があるので、ダムの展望台まで登ってみる。さすが220段の階段は登りでがある。
 展望台からはダム2ヵ所から放水の様子や明日歩く黒部川沿いの道が木々の間からかすかに見えた。


人気スポットであり、3連休も手伝って、さすがに人は多い。天気は変わりやすく、雨が弱く降っている。ダム反対側のヒュッテ黒四を探したが林に隠れて見えないようだ。
 階段をおり、下の展望台まで降りて放水の様子を目の前で見る。

後で知ったが、ここから柵を乗り越えて、下ノ廊下への近道が行けるようだ。
 黒四ダムを渡り、今日の宿ヒュッテ黒四を目指す。

ダムを渡り切ってから左に案内板がある。ダムの船着き場を過ぎ、20分ほど歩くとヒュッテ黒四に着く。ヒュッテとは名ばかり、看板もなく実に地味な建物だ。入り口で受付を済ませ、2階に上がる。建物はあたらしそうで最近リフォーしたのかもしれない。相部屋は最後に4人になったが、。最後に来た人はほとんで部屋にいなく寝る時も一番最後だった。天気は青空は見えるが時折雨が降っていた。お腹がすいたので、持ってきたチョコレ〜トをかじる。どうやら夕食はおいしく食べられそうだ。4時半になったのでお風呂に入る。風呂上がりのビールもおいしかった。5時半に夕食となり、消灯は9時だがいつのまにか寝てしまった。夜中も雨の音がした。蒲団が厚く寝汗をかく。

11日(月・祝)
 4時に隣の人が起きだし、物音で目が覚める。まだ雨の音がする。合羽を着て出発することになりそうだ。廊下ではだ早くも団体さんが出発の準備でにぎやかだ。食堂も明かりがつかないので真っ暗だが、ランプをともしながら朝の弁当を食べ始めている。まだ食欲がないが外は雨なので、とりあえず腹にはいる分だけ詰め込む。団体さんと相まって、出発することにする。トンネル内からの日電歩道の行き方が良く分からなかったからだ。ところが食堂で隣にいた年上のご夫婦が時を同じくして出発しようとしており、話を聞いたら近道があるという。20分くらい短縮できるとのこと。助かった。
 黒四ダムを渡り、昨日の展望台におり、柵を乗り越える。すぐ上からの本道に出会い、旧日電歩道とある看板に乗って下に向かい、途中から急な下りに進む。
 下りきるとプレハブ小屋があって管理している人に会う。ダム放水予告の放送がさっきから流れており、危険がないか管理しているようだ。
 小屋すぐ下の橋を渡り、いよいよ左岸の下ノ廊下の道が始まる。

 しばらくは林の中の道であり、川沿いというだけで、普通の山道となんら変わらない。所々上り下りがあり、川から離れたりもする。また、時々うえからの渓流が流れ落ちており、石沿いに渓流をまたぐ。
横に走る道が下ノ廊下
真砂沢方面の分岐点である内蔵助谷まではごく普通の道だった。

時間を見るとダム下から55分かかっており、コースタイムの40分ではきつい。
 内蔵助谷を過ぎると、雨も上がったし、適当なところで合羽を脱ぐ。渓流はたまり場では水の色が透き通るようだ。

下着まで汗でぬれていて気持ち悪い。時々崖をえぐった道が現れる。また、道を迂回するため、丸太の階段があり、約15mほど登って今度は5mほど水平の丸太の道を歩き、また丸太の階段で降りるようになっている。今朝までの雨で滴が垂れ、滑りやすくなっているので、用心しながら登り下りする。丸太の垂直に近い階段ヤ道ををよく作ったものだと感心する。残雪も現れる。

 黒部別山谷という大きな沢を越すと、水量は増えさらに道は険しさを増す。


残雪があちこちにみられ、橋を形作っているところがあった。

 黒部別山谷から白竜峡までの道が下ノ廊下で一番険しいところだ。ここにももう1か所丸太に寄るう回路があった。白竜峡の水量は迫力があった。
 白竜峡を過ぎると広河原といわれる程渓谷の幅が広がり、水の流れもゆったりする。
 十字峡は突然吊橋が現れ、黒部川に丁度左右から同時に合流するところに出る。

橋は合流する剱沢の上にかかっているが、水量は本流の黒部川より多い。十字峡は全30キロの下ノ廊下の2/3の地点に当たる。
「十字峡 黒部ダム駅11・8km欅平駅18・4km」の文字が見える

 十字峡を過ぎると道はまたごく普通の道となり、丁度昼食時になったので眺めの良い場所を見つけて昼食にする。汗で揺れたタオルもついでに干す。

 道はますます楽になり、右手にサターンの秘密基地のような建築物が見えてくる。電線のトンネルのようだ。


やがて急坂を下る。急坂を下りきると東谷吊橋に出る。板は2枚ほどしかなく揺れるしスリルがある。

 吊橋を過ぎて川沿いに歩くと部分的に解放されたトンネル道に出る。川は仙人谷ダムとなり、やがて上り坂の仙人谷が見えてくる。丁度7〜8人ほどのカラフルな若いグループがこれから登ろうとしているのが見える。時間は1:30ごろだ。これから行くとしたら次の小屋の仙人温泉小屋まで約4時間かかる。到着予定が5時半とは相当体力にも自信があるグループのはずだ。
 やがてダムが見え、上を通って川を渡る。ここからは建物の案内標識に沿って、建物(関電人見平宿舎)の中を通る。建物内のトロッコの線路を横断し、熱風(地熱トンネル?)の中を通って外に出てから、さらに工事中のそばをポールとロープに沿って進む。やがて建物とも別れ再び山道になる。
5分程歩くと急に階段状の上り坂が始まる。久々の急な登りは結構きつかった。20分ほどで大木を根回ししているところで坂は終わり、あとは平らな道を歩くと、「阿曽原」の文字が見えて下りになる。
 阿曽原小屋はプレハブであまり大きくない。

受付の時、今日は人が多く、食堂で寝てもらいますとのこと。荷物は荷物部屋へと言われた。どうやら宿泊客全員の荷物がおかれているようだ。不便この形ない。干場があったのでズボンやシャツとタオル1本を干す。宿泊客は全部で130名ほどいる。ただし2年続けて下ノ廊下が通れず翌年プラス100名ほど余分に止めたことがあったらしい。
 荷物を置いてから露天風呂の男性の時間まで30分程あったので、揺れたシャツを着替え、自動販売機で飲み物を買う。甘いジュースがおいしかった。
 風呂には7〜8分下りなくてはならない。男性の時間になると、早速満員状態になる。

もちろん着替え場所も屋根はなく雨が降ったら利用が難しい。それでも汗が流せてさっぱりする。
 夕食の5時半までヒュッテ黒四で同室だった人と話す。こういうときは結構山の話で初対面の人でも盛り上がるものだ。山の経験のない人が話題を持ち上げ、聞きごたえをする人もいたりして、時間がつぶせる。
 夕食はカレーだ。昼と同じになったが、結構おいしい。お代りもできたが前日までのこともあり、やめた。
 夕食は7時過ぎまで4回に分かれた。蒲団を引くのが7時半と言われ、また外で時間をつぶす。
 最後の食事が終わり食堂に行くと二人で一つの蒲団にしてくださいと言われる。こんなことは数十年前の北アルプス以来だ。先程の人と一緒の場所を指示される。
 枕は固く高いので下着を入れた袋にする。最初は寝にくく寝付くのに苦労したが、いつのまにか寝てしまった様だ。前日寝汗をかいたので、一緒の人が半袖になったのを真似たのがよくなかったようだ。寒くて脱いだセーターを着た時はすでに遅かった。夜中何回も目が覚める。

12日(火)
 朝4時半に目が覚める。朝食は5時40分なので丁度よかった。洗面所に行くとすでに山道にランプが動いている。5時間あれば着くのに、そんなに早く出てどうするのだろうか。トイレに行きひげをそり蒲団をたたみ、時間まで小屋内をうろうろする。
 朝食は味噌汁、卵焼き、海苔、豆の煮物、昆布のほかまた納豆が出た。ご飯が堅かった。
 食事を済ませ、5時50分に洗面所にいるともう先程の人はリュックを担ごうとしている。早いですねと声をかけたが、若い人だしペースが違うので先に行ってもらうことにした。 
 6時前に小屋を出る。20分ほど登り、また平らな道になる。折尾谷は大きな滝があった。

折尾谷を過ぎルと再び切り立った道が出てくる。

大太鼓ではさらに切り立った道になる。距離はそんなにないがスリルがある。

 大太鼓を過ぎると下の方から鉄道のレールのきしむ音が聞こえる。黒部鉄道に近づいたのが分かる。
 志合谷トンネルでランプを出したが、どうも暗い。もうひとつの手持ちランプでトンネル内を通る。

余分に持ってきてよかった。わずか150mほどだが真っ暗なので助かった。
 トンネルを抜けるとまた普通の道だ。やがて、鉄塔が見えるが二つ目の鉄塔が欅平だ。黒四ヒュッテを出るとき一緒だった老夫婦にここで追いつく。教えられて正面上を見ると7月言った唐松岳や不帰の嶮白馬鑓そして白馬山(旭岳)や右手に鹿島槍と爺が岳が見えた。


 15分ほど休憩して欅平駅に向かうことにした。下りは1.3kmと表示があり、とてもコースタイムの20分では無理がある。倍の40分かかって欅平駅に着く。

 欅平駅周辺は工事中で、12年前に来たミュージアムは取り壊されてなくなっていた。
 丁度電車が11:04にあり、乗り込む。風がまともに吹きつける車両なので、汗をかいたシャツが寒くなり急いで着替える。
 宇奈月に近付くにつれ陽射しもさし段々温かくなる。
 宇奈月で時間があったので土産を買い、うどんやでそばとビ-ルを注文する。聞くと連休で室堂は大渋滞になり下からのバスは2時間ほど発車を見合わせたらしい。
 黒部鉄道で魚津に出てほくほく線で越後湯沢から新幹線で東京駅へ着く。自宅には6時30分に帰る。